私のTシャツコレクション・手紙になりたかった、寄せ書きTシャツ、 「Tシャツ1枚何故差し入れできない?」「納得できないから裁判しよう」

死刑囚は何を考えているのか、冤罪死刑囚は何を叫んでいるのか、それを知ることが死刑制度を変えていく可能性につながるのではないか。外との交流をほとんど奪われるということは、社会的には存在しない=死ということにならないのか。

確定死刑囚の獄中での過ごし方は、服役者と違って、監獄法第9条によれば「未決に準ずる」、つまりまだ裁判中の人たちと同じとなっています。が、実際は、親族以外は文通も、面会もできない違法な現状がありました。

1986年秋。作家松下竜一さんが、『狼を見よ―東アジア反日武装戦線狼部隊』を、雑誌「文芸」に発表。それを機に、獄中(大道寺将司・益永利明)・獄外11人が共同原告になることで死刑確定後の交通権を確保するのが目的で、事件に対するとらえ方はいろいろありながらも、死刑廃止・獄中処遇の違法性を共通項に、全国から原告を募り、確定前日に滑り込み提訴。被告は国と東京拘置所所長。通信は『26の瞳』。

「集会で寄せ書きしたTシャツの差し入れ不許可、手紙の中の『ハンスト』という文字の抹消、差し入れた写真を見せない、新聞コピー一部削除、面会拒否(労働組合の腕章をつけていたから)、裁判後費用として差し入れたお金や訴訟書類不許可」がおかしいと国家賠償請求裁判。『あなたも“ランソの兵”として立てる』(草の根通信1987年6月5日 第175号)という裁判マニュアルも発表。弁護士なしの本人訴訟という難題にかなり気楽に踏み込み、20年余、第3次訴訟まですべて一部勝訴。「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律」につながり、 この「成功体験」がサウンドデモ裁判の提訴にもなったのです。

(運営委員・木村京子)