Tシャツ製作話

賞の団体決定から受賞式までは、秒刻みのスケジュール。この限られた期間の中で、団体への取材〜紹介ビデオの制作、それにTシャツ作成、式での余興(コントと歌&ダンス)ついでに人権賞イメージビデオ作成も並行しての作業になりました。ついでに言えば、11月12月というのは、年末進行的な月刊誌の連載も担当させてもらってる商業イラストレーター的には、なかなか忙しい時期だったりします。とはいえ、この副賞や授賞式もろもろ、色々と僕自身でもアイデア提案してるという、自分で自分の首を絞めているドM野郎ですけども(汗)。

さて、具体的なデザインの話に移りますと、Tシャツデザインの中心的モチーフである「魚」は、「草の根の会」代表の梶原徳三郎さんが執筆された名著「さかなやの四季」などのイメージから、すんなり固まりました。しかも、ただの魚ではなく、羽根の生えた魚。これは「草の根の会」が反戦、反核、反原発、脱グローバリゼーション、人権問題など縦横無尽に様々なテーマに携わって活動を続けてきた会の象徴として、世界を飛び回るイメージの産物です。

さて、この団体は代表の梶原さんだけではありません。ここに多彩に集まる人々が重なりあったことが重要なポイントでもあります。1972年から2004年の間に380号まで発行して、日本国内だけでなく、スリランカ、バングラデシュ、タイ、中国、オランダ在住の邦人読者にも送られていた「草の根通信」は、そんなサポーターたちの結晶です。それを飛ぶ魚の周囲に、たくさんの小さな星々で表現してみました。その数、通信と同じ号数380。…というのはいささかオーバーな話ですが、「草の根の会」というのは、応援者の存在も大変重要、ということもTシャツデザインで表現したかった部分です。このTシャツは人権賞が作って授与する副賞なので、それを記すために、背中面(襟元)には、人権賞の名前も入っています。いわゆるダブルネームというやつですね。

Tシャツの色について。団体名に「草」という名前もはいっているし、「草の根の会」が、これまで集会などで掲げられた横断幕も緑色だったので、Tシャツの基調カラーはグリーン以外には考えられませんでした。その緑色でもかなり幅があるので、選択に苦労したのですが、スタッフであれこれ悩んで「アイビーグリーン(UnitedAthle レギュラーフィットTシャツ 5401 5.0oz)」という色の生地にしました。印刷は、これまで個人的には度々印刷してもらっている「ラスティーズ(http://rustees.jp/

)」という専門業者です。約1000枚という大量の脱原発Tシャツや、僕の個展で作った少数限定Tシャツなども、どんな仕様でも毎回、納得のいくものに仕上げてもらってます。

そんな色々な想いを込められて、たくさんの工程を経て完成したのが、第1回受賞団体Tシャツなのです。

(いのうえしんぢ)