スタッフのつぶやき3. そんな方からのエントリーを

選びかた。

「プロ市民」人権賞は、みなさんからエントリーしていただいた書類を選考委員と運営委員とで、議論を重ね、じっくり検討した上で選ばれていきます。一番重要な部分は、その活動内容です。2018年からスタートし、これまでに2回の表彰があったわけですが、その中で過去にエントリーされた方でも何度でも可能です。その活動内容に関しても、環境や人権、平和、ジェンダーの問題だったりと、そのテーマはどこにも限定されません。

 

でも、あえて言えば…もしも、この賞に受賞される団体・個人が選ばれる傾向、なんらかの嗜好性があるのか、と強く問われれば、静かに首をほんの少し縦に動かしてしまう部分があるのです。これは、「プロ市民」人権賞・委員会の公的な見解ではありませんのでこっそりと言わせてもらいますが…運営委員の一人である、いのうえしんぢが勝手にイメージしてしまう、ぼんやりとした像があるのです。この賞に、ピッタリな個人や団体のイメージが。

 

スペインには、こんな格言があります。

「12歳でモテる男は、立派なマタドールにはなれない」

マタドールとは、闘牛士のこと。その地域では、まだ幼い男の子の大多数がこぞって目指すくらい人気の職業なのですが、そのモチベーションは単純明快に「人気者になりたい」「名声を得たい」「モテたい」という、ド直球な上昇志向な気持ちからなのです。そこで12歳という、まだ未成熟なうちに、変に人気者になり、モテてしまうとハングリー精神が薄れてしまい、そのせいで努力を積み重ねる過程を怠ることになり、結果的に立派なマタドールになれない、という理論です。

 

さぁ、思い出してみてください。

あなたの教室にいませんでしたか? 小学生なのに、スポーツ万能で成績も優秀でクラスの委員長をやり、バレンタイン・デーには大量のチョコをもらっていた彼。また、コブシを効かせていぶし銀なオトナの恋の唄を、のど自慢で高らかに歌い上げていたクラスメートの彼女。さらには、テレビ番組に出演して、全国の鉄道の駅を北から南まで延々とそらで言うことで脚光を浴びた隣のクラスの彼。

しかし、幼い年齢で人気者だった彼・彼女らが、成長して高校生くらいになると一切みんなの話題に上らなくなり「アレレ?」と存在感が薄くなったのを感じたことはありませんか?

 

逆に、現在は成熟して自分の世界観をしっかりと持った魅力ある人って、意外と幼少期は、聡明で周囲を憧れさせる存在などではなく、輝かしいエピソードもなく、たいして人気がなかったようです。例えば、トム・ヨークとか、宮藤官九郎、みうらじゅん、森達也、宮本輝、村上春樹などがそうじゃないでしょうか。彼らは、学生時代には人気なくて、クラスメートからは「そんな人いたっけなぁ」と記憶に薄い印象だったのです。逆に、劣等感が満載で自我が強いくせに、それをどう扱って良いかわからずに、周囲から気味悪がられたエピソードが出てくるくらいです。そんな地味で屈折した青い時代を乗り越えることが出来ると、やがて美しい花を咲かせる時代がやってくるのです、きっと。

ビバ、大器晩成!カモン、第三次性徴期! そんな、大器晩成な人のエントリーを「プロ市民」人権賞ではお待ちしています!

 

いえ、嘘です。スペインの格言も全部ウソです。もちろん幼少期からモテた人でもそうでなかった人でも、活動内容が勝負。「プロ市民」人権賞は、頑張っている、あらゆる個人・団体のエントリーを大歓迎いたします。エントリーをHPのメール・フォームから、よろしくお願いします!

(運営委員・いのうえしんぢ)